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zoom RSS Sn2のロコ,作る前に。

<<   作成日時 : 2016/07/18 16:10   >>

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 Sn2の場合,カプラーはナックルのサイズがスケールに近いケイディの#714(HOn3用)を使う。ただ機関車の,特に前部につけにくい場合がある。カウ・キャッチャーがある分,カプラー・ポケット(ドラフト・ギア)自体を前に張り出させるとか,何らかの方法を講じないと,入換などの時に貨客車をつなげにくい or つなげられない。
 #714はHO用とは違ってワン・サイズだから,長いシャンクのものがない。しかも,このカプラーは上下2分割で,これがスライドすることでナックルを開かせる構造になっている。HO用のなら,製品にない長腕が必要であれば,シャンクを自作してその先端にナックル部分を止めることで如何様にも対応できるが,そうはいかない。
 そこで,機関車だけには,HOの“スケール”ヘッド(#58/#119)を利用する予定でいる。云うまでもなく,#714はこのスケール・ヘッドとも,通常のスタンダード・ヘッドとも連結できるようになっているので,少々大きいのさえ我慢すれば充分につかえる,と云うワケ。

 ところで,実物のメイン2フターズのカプラーは,鉄道によって,或いは時期によって違いがある。
 5つの鉄道はいずれも,創業当時,機関車のカプラーはリンク&ピン式で,客貨車は,例外は後に述べるが,これもリンク&ピン式が主流だった。
 最後までリンク&ピン式を使い続けたのはMonsonとK.C.R.R.。ただし,K.C.R.R.の後期のロコ(W.W.& F.から買ったbRとS.R.& R.L.から買ったbS)は前後にナックル式自連をつけていた。元の鉄道でつけていたそのままなのだが,ナックルに入っているスリットにリンクを入れてピンを挿すことで連結できるので何ら問題ない。
 1906年にナックル自連に変更したのはB.& S.R.。
 S.R.& R.L.は1910年だが,ここについてはいろいろあるので後ほど…。
 W.W.& F.は,オーナーが変わった1907年にボールドウィンの新造蒸機2輌を入れたが,このロコがナックル・カプラー装着で納入されたので,この時期のようである。と,はっきり書けないのは,明確に書いた資料がないためなので悪しからず。

 S.R.& R.L.の前身で,メインの2フィート・ナローのサキガケであるSandy River R.R.に入った車輛は,わずか半年で終ってしまったBillerica & Bedfordのを引き継いだワケだが,2輌のフォーニィはリンク&ピン,貨車と客車はMiller式のフック・カプラーだったのを,そのまま使った。
 このミラー式を説明すると長くなるので簡単に触れておくと,ミラーとはその発明者,Ezra Millerの名に依るもので,エンド・プラットフォーム(車体端寄りの,日本ではデッキと呼ばれる部分)とカプラー,バッファーも含めた構造物をMiller's Platformと云い,そのパテントで車輛メーカー各社に作らせた。(↓クリックで拡大)
画像
 連結状態のこのイラストでおおよそは判るだろう。
 解放する時は,フック近くについている鎖を引いてカプラーを外側に引っ張って行なう。そのためにテコの原理を使った「release lever」をエンド・プラットフォームに備えてあった。
 このパーラーカーのブラス・モデル(中国製・Sn2)でも,ついている。(↓クリックで拡大)
画像
 斜めになっている解放レヴァーを垂直位置に動かすと鎖が引かれるワケ。
 ミラーのフック・カプラーには,リンク&ピン・カプラーと連結させるため,リンクの入る凹みとピンを挿し込む孔が設けてあった。(↓クリックで拡大)
画像
 どうも絵が下手でフックの角度が甘くなっているのは勘弁願うが,これでリンク&ピン・カプラーと連結した。ミラーのフック式カプラーも自動連結できる構造だから「自連」と云っていい。
 模型でもどうかと思うような簡単なものだが,この方式は結構需要があって,S.R.& R.L.の親会社のメイン・セントラルやボストン&メインでも,二十世紀初頭まで客車に採用していたほどである。

 Sandy River R.R.の開業時は,上記のように機関車以外ミラー・フック式だったが,以後に入線した貨車はすべてリンク&ピンである。だがそれ以降入った客車はミラー式を装着し続けた。ナックル自連化後の1912年に新造されたRPO/バゲイジ(bU)だけが最初からナックル・カプラーなのは云うまでもない。
 とは云え,全車輛のナックル自連化は一日にして成らず,である。機関車と客車のナックル自連化は早く完了したが,貨車ではそうはいかず,ナックル式とリンク&ピン式が入り交じった時期があった。これに対応できるナックル式が,ナックルにスリットが入ったのである。(↓クリックで拡大)
画像
 このカプラーは“3/4 M.C.B.”と云うもので,他の2鉄道で使われたのも同じものである。
 ミラー式のカプラー解放レヴァーがこの写真でもよく判るだろう。ご覧のように,ナックル自連になったあともS.R.& R.L.ではこのレヴァーを残してあり,どう云う仕組みだったか判らないが,これでカプラーの解放を行なっていた。
 ただ,晩年の写真を見ると,このレヴァーを撤去してある客車がある。それも両端ではなく片方だけと云うのもあり,なぜそうしたのかは不明なのだが,S.R.& R.L.を時代にこだわって模型化する場合,こうしたディテールも重要になってくる。もっとも,個々の車輛について時期を特定するのは容易ではないが…。

 ミラー・フック・カプラーはS.R.& R.L.だけが採用したのかと云うと,B.& S.R.では一切採用しなかったが,W.W.& F.の前身,Wiscasett & Quebecが開業時(1894年)にJackson & Sharpから入れた客車4輌はミラー・フックだった。J&Sがら出荷する時の1輌の写真を見ると,解放レヴァーが見えるので,間違いない。ナックル自連に替えるまでこれを使っていたようである。

 ところで,前回の話の中で2007年発行の〈The Sandy River & Rangeley Lakes Railroad and Predecessors,Equipment Manufacturers and The Equipment,Volume 1〉と云う本(Jerry DeVos著)について触れた。このシリーズは書名通り,S.R.& R.L.とその前身の鉄道の車輛を製造メーカー別にまとめたもので,第一巻はボールドウィン製のロコを全部紹介しているから,お好きな方には必見かつ必携の好書である。が,いろいろ調べてみたがもはや絶版のようで,古書サイト(bookfinder.com)で1冊だけヒットしたので見てみたら,何と日本円で8万円を超す値段がついている。ビックリ! 絶版の鉄道書で有名なのはマイケル・コッチ著のSHAYの本だが,あれでも外箱を開けていない未開封のでもそこまでしない。
 ついでだから,アメリカの鉄道書の話をしておくと,通常は3000部作り,これが最初の一年で半分売れ,残りが捌けるまで10年かかると聞く。その伝でいけば,前掲書が売り切れているのは不思議ではないが,8万強はいかにも異常。ほとんど古書市場に出ることがない,持ってる人が手放さない本なのだろう。元が$60かそこらだから,もしそこそこの値段で出てるのを見つけたら,“買い”ではなかろうか。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
へぇ〜。ミラー式のフック・カプラーてのは初めて聞きました。
図面を見ると、おそらくバンパー部分の中央にバッファー(緩衝器)が付いてるんですね。

でも、何だか分岐器とかのSカーヴ上じゃ心許ない感じがしますねぇ。
リンク & ピン式でよくやるようなチェーンを引っ掛けるとかはしなかったんですね。
ちょっと不安なカプラーですけど…。
Junior
2016/07/18 20:46
Junior,

バッファーが押し合うのと,フックが内向きに寄るような構造なのでカーヴでも外れることはないんでしょう。スタンダードゲージの客車で1903年まで使われていたのもその証左になるでしょうね。

エンドビームにフックのついた鎖が下がっているのが一番下の写真にも見えますけど,これをエンド・ビーム間に渡して走らせていました。カプラーが外れた時の安全策と云いますか。
だから模型でもつけて…と云いたいところですが,これは省略するつもり。
Taddie
2016/07/18 21:07

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