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zoom RSS あら? やっぱり…。 なんと!

<<   作成日時 : 2016/08/08 01:27   >>

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 珊瑚がHOn30の新作として出したS.R.& R.L.のフォーニィ,bXのキットを紹介する雑誌の新製品コーナーに,こんな解説(読んだ記憶なので表現は違うと思う)が書いてあった。
 「実物は2フィート(約610ミリ)なので1/87では約7ミリになるが,一般的なナローのゲージ9ミリになっている」
 「あら?」とはこれを見てのこと。
 書いてあることを文字通り解釈すれば何もおかしなところはない。
 この「1/87では」と云うのは「HOでは」と同じ意味で使っていると思うが,では「実物の2フィートはHOでは約7ミリ」なのかと云うと,それは違う。“約”ではなく,7ミリちょっきり。
 「HOは実物の1フィートを3.5ミリにする」と云うのが決まりだから,HOは3.5ミリ・スケールとも云う。だから2×3.5=7,それ以外の答えはない。
 半世紀以上前,鉄道模型を始めて間もなく「HOは3.5ミリ・スケール,OO(ダブル・オゥ)は4ミリ・スケール」と云うのを覚えて以来,忘れたことがないが,同時に「HOは1/87,OOは1/76」とも覚えた。

 「やっぱり…」と云うのは,……
 日本でHOの模型を作るのに,メトリック寸法で設計された日本製車輛は当然ながら,米国製車輛(例えばボールドウィンの機関車)でも,元になる図面がメトリック寸法に換算した表記であれば,3.5ミリ・スケールと云うのを使わず1/87を使っても,それで構わない。でも,元がフィート/インチのものに対しては3.5ミリ・スケールで計算しないと,代用品を食べたような後口の悪さが残る。これを使い分ければいいのだが,どうやら3.5ミリ・スケールと云うのを知らずに,フィート/インチをミリ換算して87で割るのが当たり前になったようだ。
 実は随分前から,3.5ミリ・スケールと云うのを知らないモデラーが増えたと感じていたのだが,こう云うことで「やっぱり…」となったワケ。

 1/87の87は概数である。1フィート(304.8ミリ)を3.5ミリにすると,304.8÷3.5=87.08571428...だから,これを小数点以下を四捨五入して1/87にするのか,或いはNMRAの規格表にあるように1/87.1にするかは,各自の判断。何でNMRAは小数点以下1桁までにしているのか,その理由は知らないが,OOスケール=4ミリ・スケールを,304.8÷4=76.2なので,NMRAではそのまま1/76.2と小数点以下1桁の数値にしてあるのに合わせたのかも知れない。
 最新号のModel Railroader誌を見ていたら,ストラクチャーの図面には「Ratio 1:87.1,HO Scale」と書いてあり,レイアウト記事では「Scale:HO(1:87.1)」としてあった。 
 ちなみに,NMRAの規格表では(手許にある古いのと今のとでは表現がちょっと違うが),HOでは,「Name Of Scale」がHO,「Scale to the Foot」が3.5ミリ,「Proportion」が87.1,となっている。MRが1/87.1とはせず1:87.1と書いているのは,これが「Proportion」だからだと判る。
 和訳すればScaleは縮尺,Proportionは比率(Ratioも比率)だが,この「縮尺」や「比率」というのはいつできた言葉なんだろうか。
 西洋の文物が大量に入ってきた明治時代ではないかと思うが,確証はない。「鉄道」と云うのは福沢諭吉がこしらえた和訳語だそうだが,当時,日本語にないものを漢語化するのが圧倒的に多く,現在使っている言葉の多くがそうだと云う。
 縮尺と云う文字を見ていると,どうも「尺に縮める」と云うことで作られたような気がする。
 先日,伊勢神宮を採り上げたTV番組で,遷宮のたびに宮大工はその模型を作っていると云う話があった。番組の中では何分の一とか云っていたような気がするが,この分数的考え方で作られてきたとは思えず,実際には実物の1尺を1寸にする(1/10になる)とか,1間を1寸にする(1/60)とかの,○ミリ・スケールと同じ発想だったのだろうと思う。伊能忠敬が測量して作成した地図も,それと同じで何万分の一とかではなかったろう。
 そう考えると,「縮尺」の発想の方が古くから使われ,「比率」型は明治以降なんだろう。となると,「縮尺」は中国からきたのかも知れない…。

 英語の発想からの表記なら,「縮尺:HO(1/87)」や「HOスケール(1/87)」「HO:3.5ミリ・スケール(1/87)」になり,結構見かける「1/87スケール」は意味に合わない。今では何分の一と云うのも縮尺としているので,「縮尺:1/87」は構わないと思うが,「1/87スケール」は,やはりいただけない。

 この手の話になるとやたらに数字が並ぶから,書いてる方もいささか面倒になってくるし,読む方もいい加減にせい!と思うだろうから,この話はこれまで。

 さて,どうも寄る年波のせいで,物忘れがひどい。Sn2でフォーニィを作ろうと思っているわけだが,前に買っておいたメイン2フターズの図面集のことをすっかり忘れていて,先日,それを開いてみて気がついたと云うか,これまでの思い込みをしみじみ情けないと思ったことがある。
 この図面集,基本はメーカーや鉄道会社が描いた設計図・組立図のリプリントなのだが,その中に,冒頭で触れた珊瑚の新製品,フォーニィbXのボールドウィンの組立図が収められている。無論オリジナルのだからエア・ブレーキ化された珊瑚のキットのとは違う。(↓クリックで拡大)
画像
 これと一緒にbW(納入時はSandy River R.R.の18。インサイド・フレームの2-4-4)と題されたのもあった。(↓クリックで拡大)
画像
 ところがこの図面,どう見てもbWではない。パッと見にはドーム類が小さく,まずそれで違う気がしたのだが,何のことはない,アウトサイド・フレームではないか!
 この図面集は斯界の権威と云ってもいい方がまとめたもので,こう云う手抜かりは意外なのだが,もしかしたら「S.R.& R.L.のbW」として残っていた図面を入手して,そのまま使ってしまったと,好意的に考えたい気もする。
 それはともかく,この図はW.W.& F.のbVである。bXに2年先立って造られたロコで姉妹機と云っていいもの。ボールドウィンの2-4-4フォーニィとして最もまとまった,最もスタイリッシュな,と云う評価の高い機関車である。

 この図を見て「なんと!」と絶句した。
 何の話かと云うと,煙室側面と前端部(パイロット)をつなぐステイのことである。
 煙室側につく円板状のステイ受は,模型で云えば,小さな円板の中心に孔をあけ,これに折り曲げた真鍮線を挿し込んで煙室に固定し前端部と結べばいいと,何の疑いもなく思っていたのだが,ホンモノはそうではなかった。
 拡大したのを見ればよく判る。(↓クリックで拡大)
画像
 円板の中心にステイの先端が届くのであって,模型だと,中心から線径分ずれた位置に孔をあけるようにしないと,この感じは出せない。
 これまで,模型記事でこのことを示したのがあったかどうか,記憶はない。だから中心に線を挿せばいいと思い込んでいた。もっとも,どなたの記事だったか憶えてないのだが,円板は煙室側に固定せず,ステイをパイロット側に固定,ステイ先端に円板をつけ,上下を組み立てると円板が煙室側面についたようになると云う(実物の円板はステイと溶接してあり,これを煙室側面にリヴェットで固定するのに似た)作り方があったのは記憶にある。
 それと,ステイは円板の板厚分浮いているものだとも思い込んでいたのだが,これも図を見て違うのもあることが判った。これを見ると,それがよく判る。(↓クリックで拡大)
画像
 下の図がW.W.& F.の7号機で,板厚分ステイに食い込んでいる。大きな模型では可能だろうが,HOやSではここまで作るのは難儀しそう。
 それともう一つ,気がついたことがある。ステイがパイロットにつく位置のことで,上の図(bX)は正面から見てステイは末広がりの「八」状だが,下では逆,裾つぼまりである。ほぼ同じ大きさの,同じアウトサイド・フレーム機なのに,何で違うのだろうか。
 他のロコ(フォーニィ/テンダー機,インサイド・フレーム/アウトサイド・フレーム込み)の図面や写真を見ると,ステイが左右平行のも含めていろいろあり,規則的なことがあるように思えない。
 この謎,解明できないものだろうか…。

 と,フォーニィ製作を始める前にツマラヌ疑問(本当はとても興味深いのだが)に憑りつかれたかのようになってしまった。
 キツイ猛暑の日々ゆえ,みなさまには御自愛くださいませ。

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
アハハ、確かに…
「1フィートを3.5mmとする」のが3.5mmスケールなんだから、どう考えても(計算しても)2フィートなら7mmジャストですよね。
それをワザワザ割り算しちゃったんだ。
「009だから1/76なので2フィートは約8mmとなる」のも同じですね。
掛け算すりゃ済む話なのに……。

> ステイをパイロット側に固定,ステイ先端に円板をつけ,上下を組み立てると円板が煙室側面についたようになる

ご記憶にあるのが僕のSナロウの0-6-0じゃないとは思うんですが、一応そうなってます。
http://dog.ap.teacup.com/reightongap/img/1335617281.jpg

しかし、Snも何とかせねば‥‥‥。
Junior
2016/08/09 12:06
Sなら3/16インチをかけるか,4.7625ミリをかけるかだけでなく,64で割っても同じ答えになるのが,ありがたいところで…。

Juniorの作例よりもっとずっと昔に見たんですよ。
いわゆる輸入古典機だったかと…。
ブリティッシュ・ロコにはステイってついてますか? あれってメリケンだけですかね。
Taddie
2016/08/09 22:57
> あれってメリケンだけですかね。

実は偶然にも先日この事に思い当たって、アチコチ画像検索してみたのですけど、今チョイと手を出してるエゲレスものでステイが付いてるのは見た事がないですね。
ヨーロッパ型でもなさそうです。(って、浅学のクセに生意気を言う……)
そう言えば、米英混合デザインみたいなニュージーランドの古典機にもこればかりは付いてませんでしたね。
Junior
2016/08/11 15:38
Junior,

リサーチ,ありがとうございます。
そうですか,メリケン独特のなんですね,きっと。
ギアード・ロコでもついてるし,もしかしたら何かの,つけなきゃいけないルールとかがあるのかも。

日本に入ったボールドウィンとかではついてるんで,もしかしたら外国では日本だけ?
何だか面白いナァ…。
Taddie
2016/08/11 18:00
ロシアにはついているのが有ります。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8b/Steam_locomotive_B-101_reworked.jpg
railtruck
2016/08/11 21:08
スペインもついているのが有りますね。
https://c1.staticflickr.com/3/2055/5713426600_aa17d740ed_z.jpg

railtruck
2016/08/11 21:28
railtruckさん,

ご教示ありがとうございます。
となると,他にもあるかもしれないですね。

いろいろと写真を見て,煙室側面につく受は円形だけでなく長方形のもあるのを知りました。
こんなちょっとしたディテールでも奥が深い…。
Taddie
2016/08/11 22:37
珊瑚の200形、5形に附属しているステイは、偏心させたロストパーツが付いていますよ。
廣瀬
2016/08/13 03:04
廣瀬さん,

そうでしたか。
判ってる方は判ってるって云うか,これは常識なんですね。
ウム,知らぬはテメエばかりなり,か…。
Taddie
2016/08/13 10:09

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